未知なる時代を切り拓く力

公文国際学園中等部・高等部

グローバルリーダーを育てる教育展開
海外での探究活動導入主体的将来選択につなげる

1993年に開校した公文国際学園は、自学自習に公文式を導入していることや、寮を備えていることに加え、制服や校則がなく、生徒の自主性を重視している。今年度から、中1〜高2にかけての探究学習のプログラムを一部見直し、また、定期テストの廃止や海外姉妹校との交換留学プログラムなど、新しい取り組みにも力を入れている。

校長 公文 晶子 先生  広報 橋爪 紀人 先生

「日本探究」「世界探究」で
多彩な視点から考える力を育成

 国際社会で活躍する人材を育成するという目標を掲げる同校は、生徒にも「自分で考え、判断し、行動する」ことを求めている。制服や校則がないのはそのためだ。一方で、豊富な体験活動を通して知的好奇心を刺激し、学びを前に進める教育にも力を入れている。

 その好例が、6年間通した体系的な探究学習プログラムだ。とりわけ全学年に設定されている9月後半の「スタディーウィーク」では、この期間に各学年とも工夫に富んだ探究活動を集中的に行っている(高3は模試)。

 たとえば、中1は興味関心の種を見つける「インタレストスタディーズ」と題し、校内外で体験的な講座を複数実施する。中2は八ヶ岳での様々なアクティビティを通じてチームで協力して問題解決をめざす「冒険型体験学習」、中3は6コースに分かれて日本各地でテーマを掘り下げる「日本探究」だ。

 「日本探究で特徴的なのは行き先やテーマを生徒が決めることです。班、クラス、学年とプレゼンを繰り返してコースを絞り込み、最適なプランを提案してくれる旅行会社を選択し、事前研修先も生徒が決めます。これらのプロセスを通して生徒の主体性はかなり鍛えられます」と公文晶子校長は話す。

 高1はこれまで個人探究だったが、今年度から海外で探究活動を行う「世界探究」に切り替えた。初年度は韓国、インドネシア、シンガポール、南アフリカの4コースで、国ごとに大きなテーマを設定し、国際的な視野で課題に迫っていく狙いがある。

 「身近なものから日本、世界へと関心の幅を広げ、高2では自分が一番興味を持つことを個人探究でまとめます。こうした一連の探究活動を通じて、高3の進路選択につなげていきたいとと思っています」(公文校長)

全教科で定期試験を廃止
姉妹校との交流も始まる

2025年度から開始したニュージーランドの姉妹校とのプログラムの様子

 今年度からニュージーランドの姉妹校との間で「交換留学プログラム」も始まっている。以前から留学生の受け入れには積極的で、留学生と接する機会は多かったが、姉妹校提携によって校内で日常的に異文化交流ができる機会がさらに拡大することになる。

 また、昨年度から定期試験を廃止した。筆記試験だけでなく、グループワークやディスカッション、レポートなどなど、様々な観点から評価しようという思いからだ。加えて、月に1~2回、普段の授業から離れた学びに使える「Re-Day」と呼ぶ日も設定した。この日は教科によってはテストに当ててもいいし、探究の準備や自習、ゲスト講演など、いろいろな学びの形に使うことができるようになっている。

 「各教科とも頻繁に小テストを行いますから、生徒は日々の勉強で忙しいようです。現状の入試に対応する学力も必要ですから、今後もより良い授業の進め方と評価のあり方を模索し続けたいと思っています」(公文校長)

 同校にはこのほか、公文式の採用、寮設置、校舎のゾーン分けなどの特色がある。広報の橋爪紀人先生は「公文式は、中1・2で数学のみ必須ですが、中3からは自由選択。それでも多くの生徒が2科目ほど利用しています」と説明する。寮生活は自立した学習者への入り口になるし、ゾーン分けは段階的なモチベーションアップにつながる。よく考えられた仕組みといえよう。

公文国際学園中等部・高等部 お問い合わせ先

※本記事は『日経ビジネス 教育特集号 AUTUMN.2025〈東京ストーリー〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

Pick up