※本記事は『日経ビジネス 教育特集号 AUTUMN.2025〈東京ストーリー〉(日経BP社)』に掲載されたものです。
校長 青木 直人 先生
数あるミッションスクールのなかで、唯一キリスト教フレンド派によって創設された普連土学園中学校・高等学校。生徒の主体性を重んじ、自由に伸び伸びと成長できる教育環境を整えている。単なる語学研修とは一線を画したオリジナリティに富んだ海外研修プログラムや、大学との連携を通じた発展的な学びなどについて、青木直人校長に伺った。
グローバル化に向けた取り組みは多くの学校で行われているが、普連土学園では同校のルーツであるフレンド派が掲げる「自由」「平等」「対話」「平和主義」という普遍的な価値観のもと、以前から質の高い国際交流を続けている。
たとえば「ジョージ・フォックス・ツアー」(英国研修旅行)は、フレンド派が創設されたイギリス・湖水地方を巡る研修旅行で、フレンド派の人々との交流を通してその考え方に触れ、改めて自分たちのアイデンティティを確認しようというツアーだ。
「セルフディベロップメント プログラム」は、全米屈指のリベラルアーツカレッジに滞在し、現地の学生や他校の生徒との対話を通して、自らの常識を疑うことの大切さを学ぶ目的で実施されている。初年度はスミスカレッジに滞在、昨年は同じセブンシスターズの1つ、マウント・ホリヨークで実施された。
「カンボジア アキラー プロジェクト」は、カンボジアでの地雷撤去活動の視察を中心とする研修だ。地雷原での地雷撤去作業の見学・体験参加も含め途上国の実情を学び、世界のために今、自分たちに何ができるかを考え、行動を促すことを目的に行われる。
今年から「ニュージーランドターム留学」もスタートした。高1の1〜3月をニュージーランドの共学校で過ごすもので、異文化のなかでホームステイしながら、世界の広さを実感してくるプログラムだ。
「中3にも『カナダ研修』を導入しました。バンクーバーでのホームステイやブリティッシュコロンビア大学との交流などを含む10日間の研修で、これをきっかけに、さらに高校での海外研修に関心を持つことを願っています」と青木校長は話す。
生徒の学びの幅を広げるためには、大学と連携した教育も有効だ。同校では今年から津田塾大学と協定を結び、とくに同大学が得意とする英語教育を中心にした教育プログラムを展開していく予定になっている。「普く世界の土地に連なるように」との思いを込めて普連土と命名したのが津田梅子の父・津田仙であり、今後は本格的な高大連携プログラムへと展開していく予定だ。
一昨年から続く東京理科大との連携プログラムも好調だ。同校は卒業生の4割近くが理系に進学していることもあり、理科大の教員志望の学生をチューターとして受け入れることで、大学生にも高校生にも得るものが大きい教育活動を展開している。
東京女子大学との連携では、同大学が得意としている「女性学」を高3の探究活動に導入したり、宿泊研修の事前レクチャーに参加してもらったりといった形での交流が続いている。
東京都歴史的建造物に選定されている中学校舎。法政大学建築学科の祖・大江宏による設計
「東京理科大8名、津田塾大5名、東京女子大4名の推薦枠をいただいており、連携教育を通して向学心が芽生えた生徒の進路先を確保するという意味でも役立っており、今後も密度の濃い高大連携を目指していく予定です」(青木校長)
プロテスタント校でも日本で唯一のフレンド派の学校。気骨がある校風は海外研修からもわかる。フレンド派の創立者の信仰と足跡をたどる「ジョージ・フォックス・ツアー」、地雷撤去活動を支援する「カンボジア アキ・ラープロジェクト」などユニークなものがある。「海外の体験で重視するのは文化摩擦。自分の日常や常識からかけ離れた経験こそ意味がある。それを驚き、楽しめなくては中身のある海外研修にはならない」と校長も語る。
安田教育研究所
代表 安田 理 氏
普連土学園中学校・高等学校 お問い合わせ先
TEL.03ー3451ー4616
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