※本記事は『日経ビジネス 教育特集号 AUTUMN.2025〈東京ストーリー〉(日経BP社)』に掲載されたものです。
1908年の創立以来、聖心女子学院は、女子教育の伝統校として実績を築いてきた。女子の発達段階に応じた教育によって、自分自身を深く知り、希望の進路の実現に向けて実力をつけていくのが同校の特色だ。今年度から校長に就任した藤原恵美先生に、同校の強みや新たな取り組みなどについて伺った。
校長 藤原 恵美 先生
今年で創立117周年を迎えた聖心女子学院は、女子の発達段階を踏まえ、初等科1年から高等科3年までの12年間を4年ごとのステージに区切る「4-4-4制」を導入している。キリスト教的価値観に基づく女子教育を強固な柱としつつ、時代の変化にも柔軟に対応し、質の高い教育と学習環境の整備に力を入れている。
今年の4月から校長に就任した藤原恵美先生は、同校の初等科・中等科・高等科の卒業生でもある。「母校に戻ってきて感じたのは、『魂を育てる・知性を磨く・実行力を養う』という聖心の教育の根幹はそのままに、時代に合わせた変化を遂げ、よりよい教育環境が整っていることです」と語る。
その一つとして例に挙げたのは、グローバル教育だ。同校では、長年少人数での英語教育に力を入れてきたが、さらに世界32か国におよぶ聖心のネットワークを活用し、姉妹校への留学や海外体験プログラムを年々増やしている。「同校と姉妹校の生徒が、互いの学校を頻繁に行き来しているので、世界とつながることが当たり前の環境といえます。これが、今の時代に必要なグローバルマインドの育成につながっています」
理科部の生徒が黒点を計測中。高等科生の日々の学びが、初等科生の探究心を育んでいる
「聖心の生徒たちは探究心が旺盛」と話す藤原先生。その探究心の芽を育てる最初のきっかけとなっているのが、初等科1年の「わたしの木」だ。これは、中庭から好きな木を1本選び、1年間観察を続けるというもの。都心にありながら、緑豊かな環境にある同校ならではの学びともいえる。「木の変化を身近に感じることで、新たな気づきを得て、何かを調べてみようという実行力が自然と身についています」と藤原先生。学年が上がっても、iPadを片手に中庭を観察する生徒たちの光景もよく見られるという。
「子どもたちが自分で問いを立て、やりたいことを進めていける環境を大切にしています。初等科からこのような経験をすることは、中等科・高等科での探究学習にも役立ちます。実際に、探究学習の成果を生かし、学校推薦型選抜や総合型選抜などで大学に合格する生徒が増えています」
また、2028年に創立120周年を迎える同校では、2029年の完成をめざして、キャンパスグランドデザイン(校舎改築)を進行中だ。「本館を新たに理科館にし、理科に関心がある生徒が気軽に利用できる場所にしたいと思っています。現在すでに行っている養蜂に加え、今年から水耕栽培を始めました」と藤原先生。さらに、2年前から初等科5年のクラス編成を40人×3クラスから30人×4クラス制に変更したことに伴い、現在の理科館を新校舎に建替え、教室を増やし、学習環境を整備。4階には英語フロアが設けられるほか、生徒たちが自主的な活動をする場所として、「生徒ラウンジ」も2か所用意される。それに向けて、生徒によるプロジェクトチームが準備を進めているところだ。
聖心女子学院では、初等科1年入試のほか、中等科1年で帰国生入試を、初等科5年で転入・編入生入試を実施している。藤原先生は、「聖心は、いろいろなことに夢中になれる学校です。楽しいことに自由にチャレンジしたいお子さんに、ぜひ来ていただけたらと思います」とメッセージを送った。
聖心女子学院は初等科・中等科・高等科で「4-4-4制」を取っているので中学入試はないが(帰国生入試のみ行う)、小5で編入生を多数募集する。港区白金に、ここだけ別世界のような緑豊かな広大な校地が広がり、少人数で丁寧な教育が行われている。英語教育のレベルが高い。不二聖心、小林聖心だけでなく、海外32か国に聖心グループの姉妹校があって交流も盛ん。訪れてみれば素敵な魅力を発見するはずだ。
安田教育研究所
代表 安田 理 氏
聖心女子学院初等科・中等科・高等科 お問い合わせ先
TEL.03-3444-7671
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