女子伝統校の魅力展望

聖園女学院中学校・高等学校

社会とつながりながら
自分の使命を実現させる
人間力や行動力を養う

1946年にカトリック女子校として創立された聖園女学院。2016年に創立者が同じ南山学園と合併し、南山大学との学内連携をはじめ、さまざまな大学との中高大連携を積極的に行っている。教頭の鹿野直美先生に、創立以来大切にしている教育方針や社会とつながる新たな探究学習などについて伺った。

教頭 鹿野 直美 先生

相互尊重の精神を学び
コミュニケーション能力を育む

 聖園女学院は、南山学園の教育モットーである「人間の尊厳のために」を教育活動のなかで具現化できるように、「信念・精励・温順」を校訓に掲げている。「自分の尊厳も相手の尊厳も大切にし、自分の良さを生かして社会貢献していく。カトリック女子校である本校の教訓や学園モットーにつながる教育をめざしています」と、教頭の鹿野直美先生は話す。

 社会貢献を実践するために重視しているのは、コミュニケーション能力の育成だ。中1と高1では「小笠原流礼法講座」を行い、形式だけではなく、相互尊重の精神を学んでいく。また高1では、南山大学人文学部の奥田太郎教授を招き、「哲学対話講座」を実施している。この講座では、相手の話を遮らない、結論づけないといったルールがあり、生徒はお互いを尊重する環境での発言のしやすさに気づくという。

 「人との出会いから学ぶことはたくさんあり、それがさまざまなチャンスにつながります。中高生のうちから、コミュニケーション能力を養い、社会と関係を持つことが大切だと考えています」と、鹿野先生は思いを語る。

知的好奇心や行動力が高まる
多彩な中高大連携プログラム

 社会とのつながりは、中高大連携プログラムでも広がっている。昨年度からは、清泉女子大学地球市民学部の安斎徹教授のゼミと連携し、「MISONO竹林プロジェクト」を立ち上げた。同校の校地には、100種類以上の植物と生き物が生息する「みそのの森」がある。その森にある竹を伐採し、近隣の市民サークル「金子牧場竹炭くらぶ」の協力によって竹炭を作り、これを製品化して9月の聖園祭(文化祭)で販売したところ、大きな反響があった。この取り組みは、今年3月、高校生が探究学習の成果を発表する「探究サミット」(清泉女子大学主催)で優秀賞に選ばれたという。

 同プロジェクトには、昨年度は中1から高3までの有志約30名が参加したが、今年度はさらに増えて約60名が参加していることからも、関心度の高さがうかがえる。

 このような中高大連携は、南山大学、上智大学、昭和医科大学とも行っており、専門的な学びに触れ、学外の人たちと接することで、生徒たちの知的好奇心や行動力は確実に高まっている。

聖園生が南山大学を訪れ、外国人留学生と英語で楽しく交流

 また、社会貢献のプロジェクトも活発だ。マラウイへの学校給食支援活動は、今年で3年目を迎えた。これは、聖園女学院オリジナルパッケージのコーヒーを販売し、その収益をマラウイの学校給食支援として寄付するもので、NPO法人せいぼや南山大学の学生ともつながりを持ちながら、活動を続けている。

 世界に目を向けたこれらの経験を、進路選択につなげる生徒も少なくない。同校では、進路を「人生そのもの」と考え、大学進学をゴールとするのではなく、自分の使命を見つけ、それを実現するための教育に重きを置いているのだ。

 最後に鹿野先生は、「聖園女学院での6年間を通じて、自分の良さを自覚し、どの道に進んでもその良さに自信を持ってほしい。これから中学受験を迎えるお子さんにも、夢や希望を持って生きることのすばらしさを感じてほしいと思います」と結んだ。

安田教育研究所・安田理先生の
女子伝統校
ここ魅力

学校法人は南山学園。校長も南山大学の学長だったミカエル・カルマノ先生。校舎は藤沢の小高い丘の上に緑に囲まれて建つ。常に鳥のさえずりが聞こえている環境。屋上からは西に富士山、南に江の島を眺められる。長い人生の中でこうした恵まれた環境の下で過ごす6年間はかけがえのない青春期になるだろう。カトリック校らしくしっかり勉強させる体制も整っている。週5日制を活かした、メリハリのある学校生活を送ることができる。

安田教育研究所
代表 安田 理 氏

聖園女学院中学校・高等学校 お問い合わせ先

※本記事は『日経ビジネス 教育特集号 AUTUMN.2025〈東京ストーリー〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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