※本記事は『日経ビジネス 教育特集号 AUTUMN.2025〈東京ストーリー〉(日経BP社)』に掲載されたものです。
女子伝統校の魅力と展望

安田教育研究所
代表 安田 理 氏
男子校、共学校の学校案内にはなく、伝統女子校の学校案内でしばしば目にする言葉に「品性」「品格」がある。以前だったら、言葉遣い、身だしなみ、立ち居振る舞いが上品なさまを指して使われていた。
私がいまこの言葉を意識するのは、毅然とした姿勢で仕事をしている人についてである。例えば、緒方貞子さん(元国連難民高等弁務官)。10年にわたって世界の難民の保護と救済の最前線で活躍された。赤根智子さん(国際刑事裁判所所長)。プーチンに逮捕状を出し、そのことでロシアから指名手配されている。が、少しも動揺せず、毅然と世界を飛び回っている(ロシアやその友好国の上空を飛ぶと強制着陸を命じられて拘束される可能性があるので、そこだけは避けているそうだが)。
男が空気を読んだり、長いものに巻かれたりしている姿をしばしば目にしているだけに、お二人の生き方に人間としての「品性」「品格」を感じる。
お子さんがこれから社会に出ていくと、いろんなところに多種多様な誘惑があるに違いない。そうした陥穽に陥らないためにも、お二人のような「品性」「品格」のある生き方をしている女性の話をしていただきたい。それがお子さんを人から支持され、より大きな仕事ができる存在にすると思うのだ。